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エムガルティ~片頭痛治療のパラダイムシフト

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新規発売された片頭痛予防注射薬エムガルティの勉強会がありました。平素よりお世話になっている横浜市立市民病院神経内科部長 山口滋紀先生座長のもと、日本の頭痛診療を牽引する第一人者 静岡赤十字病院脳神経内科部長 今井昇先生より、「片頭痛発作抑制のパラダイムシフト~片頭痛と頭痛医療連携」と題してご講演をいただきました。若輩ながらオープニングリマークスを担当させていただきました。
エムガルティへの期待について:::片頭痛発生メカニズムに焦点を当てた予防薬は世界で初です。やや値が張りますが、頻度の多い反復性片頭痛や慢性片頭痛の患者さんで、従来の各種予防薬による抑制に限界がある方に適応があります。当院でも投稿現時点で12人の方に投与しており、5人のフィードバックを得ていますが、月15日以上頭痛に悩まされている患者さんでトリプタンの使用が月0になった方もおり、とても優れた治療薬である実感があります。ご自身に適応があるか、どのような期間で使うのかなど、ご興味がある場合は、是非ご相談ください。

頭痛診療の医療連携について:::片頭痛患者は、全国で1000万人といわれており、頭痛専門医による頭痛外来のみでは当然対応しきれません。今井先生は、静岡全域において頭痛医療連携の構築に取り組んでおられ、患者と医療者双方にwinwinのシステムの構築に尽力されており、ご努力に感銘を受けました。頭痛専門医の役割としては、以下の診断が最低限必要です・・片頭痛であること 頻度重症度の程度の判定 予防薬と屯用薬の必要十分な判定 睡眠やストレス管理などの生活指導・・エムガルティなどの適応の判断。これらの判定には、見えない頭痛の見える化ツールである頭痛ダイアリーが必要です。患者さんがある程度頭痛対処の技を習得した後は、頭痛を真摯にみる「かかりつけ医」を紹介し、継続的にサポートしていただき、再び対応困難な局面に直面した際に、頭痛専門医で補正していく連携が必要となります。

これからの頭痛診療の在り方を深く考えさせられる会でした。

この記事の執筆者

院長 日暮 雅一 ひぐらし まさかず

院長日暮 雅一 ひぐらし まさかず

略歴

1999年 横浜市立大学医学部 卒業
横浜市内複数の基幹病院で修練
2005年 小田原市立病院 
脳神経外科主任医長
(2005年度 脳神経外科部長代行)
2009年 横浜市立大学大学院医学研究科
脳神経外科助教
(2011年度 脳神経外科教室医局長)
2012年 Australia Macquarie大学留学
医工連携学research fellow
2014年 新緑脳神経外科・
横浜サイバーナイフセンター医長
2016年 ほどがや脳神経外科クリニック開設
2019年 医療法人社団 正念 設立

資格

  • 医学博士(神経薬理学)
  • 日本脳神経外科学会専門医
  • 日本頭痛学会専門医/指導医
  • 日本脳卒中学会専門医/指導医
  • 日本認知症学会専門医/指導医
  • 認知症サポート医
  • 日本医師会認定産業医
  • 身体障害者福祉法15条指定医(肢体不自由 言語咀嚼)
  • 難病指定医
  • 自立支援指定医療機関(てんかん)

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