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吐き気を伴う頭痛の原因

吐き気を伴う頭痛とは

吐き気を伴う頭痛は、こわい頭痛の特徴の1つです。頭痛には様々なタイプがあり、国際頭痛分類では、多くの種類の頭痛が挙げられています。


吐き気を伴う頭痛の原因

脳卒中

脳卒中とは、脳梗塞・脳出血・くも膜下出血の3つを合わせてた脳疾患の総称です。脳卒中による頭痛は吐き気を伴うことが多く、注意が必要です。脳梗塞や脳出血の場合は、頭痛に伴い、意識障害やろれつが回らない、目が見えないなどの脳神経症状が起こったり、頭がふらふらする感じやめまいを伴うこともあります。くも膜下出血の場合は、突然の今までに経験したことがないような激しい頭痛が特徴的です。

髄膜炎

髄膜炎とは、ウイルスや細菌が感染し血液を介して髄膜に炎症を起こす疾患です。がんや薬剤が原因で発症することもあります。症状は、激しい頭痛と強い吐き気、繰り返す嘔吐が多く、髄膜刺激症状と呼ばれる首の痛みを起こすことが多いです。発熱や下痢を伴うこともあります。子どもにも発症することがあり、子どもが頭痛を訴えて嘔吐している場合には、すぐに病院を受診し、検査を受けてください。

片頭痛

片頭痛は吐き気を伴うことが多い頭痛です。片頭痛は20~40代の女性に多く、こめかみから側頭部にかけてズキズキと脈打つような頭痛が起こります。また、頭痛の起こる前兆として、閃輝暗点といった視野にギザギザとした光が見えることがあります。片頭痛を発症すると、光や音、においなどに敏感になることがあるため、暗く静かな場所で安静にするのが良いとされています。また、片頭痛は血管が開いて血行が良くなると、症状が悪化するため、長風呂やマッサージ、飲酒は避けてください。

片頭痛

なぜ片頭痛で吐き気が起きる?

片頭痛による吐き気は、脳の血管の拡張による刺激が三叉神経を刺激し、炎症反応が血管を広がっていき、脳の脳幹にある嘔吐中枢にまで刺激が広がることで起こるとされています。


吐き気を伴う頭痛で使われる薬

片頭痛に伴う吐き気や嘔吐に対する治療では、主にメトクロプラミド(プリンペラン)、ドンペリドン(ナウゼリン)などの吐き気止めが用いられます。副作用も少ないことから、片頭痛の薬と併用されることが多いです。ただし、吐き気・嘔吐が強く薬の内服ができない場合は、静脈注射や筋肉注射、座薬などを用いて投与します。メトクロプラミドは静脈注射、ドンペリドンは坐薬、プロクロルペラジン(ノバミン)は筋肉注射で投与されます。これらの薬は吐き気止めの効果だけでなく、消化管の運動を高めて、トリプタン製剤やアセトアミノフェンなどの消炎鎮痛剤の吸収を高める効果もあります。他にも抗ヒスタミン剤が効果的な場合もあります。


月経周期と吐き気を伴う頭痛について

女性の場合は、月経周期に伴って片頭痛が起こることがあります。月経時の頭痛に関しては、トリプタンに加えて、メフェナム酸とドンペリドンを併用することが予防につながるとされています。しかし、ドンペリドンは催奇形性があるため妊娠中はご使用いただけません。妊娠中はドンペリドンの替わりにメトクロプラミドを使うことができます。


吐き気を伴う頭痛に関する
よくある質問

吐き気を伴う頭痛の対処法はどんなものがありますか?

吐き気を伴う頭痛があるときは、まず静かで落ち着いた場所で安静にすることが大切です。光や音などの刺激を避け、片頭痛が原因と考えられる場合は、暗く静かな部屋で横になると症状がやわらぐことがあります。また、冷たいタオルでこめかみを冷やすと痛みの軽減に役立ちます。水分を少しずつ摂取して脱水を防ぐようにしましょう。市販の鎮痛薬を使用する場合は、胃にやさしいタイプの薬を選び、空腹時の服用は避けるようにしてください。頭痛や吐き気が強い場合、または長引く場合は、自己判断で対応せずに医療機関を受診することが大切です。

吐き気を伴う頭痛がある場合は何科を受診したらよいですか?

吐き気を伴う頭痛は、脳神経科または頭痛外来が専門になります。もし突然強い頭痛が起こったり、これまでにない痛みの性質を感じる場合は、脳卒中や髄膜炎などの重大な疾患の可能性もあるため、脳神経外科の受診を検討してください。症状が軽くても、原因を正確に把握するためには、早めに医師の診察を受けることが安心です。

頭痛と吐き気が同時に起こる原因は何ですか?

頭痛と吐き気が同時に起こる主な原因には、片頭痛、脳卒中(脳出血・くも膜下出血)、髄膜炎などがあります。片頭痛では、脳の血管拡張が三叉神経を刺激し、その信号が脳幹の嘔吐中枢に伝わることで吐き気が起こります。また、光や音、においへの過敏さが症状を強めることもあります。脳卒中では、出血によって頭蓋内圧が急激に上がり、脳の神経や嘔吐中枢が圧迫されて強い頭痛や吐き気が現れます。髄膜炎は、感染による炎症で脳や髄液の圧が上昇し、嘔吐中枢が刺激されて激しい頭痛と吐き気を伴います。発熱や首のこわばりがある場合は、早めの受診が必要です。このように、脳内の圧力変化や神経刺激によって嘔吐中枢が活性化することが、吐き気を伴う頭痛の原因とされています。

頭痛と吐き気がある場合、入浴は避けた方が良いですか?

吐き気を伴う頭痛があるときは、入浴を控えた方が良いとされています。入浴によって体温が上昇し血管が拡張すると、片頭痛の症状が悪化するおそれがあります。どうしても入浴したい場合は、ぬるめのお湯で短時間にとどめるようにし、熱いお湯に長く浸かるのは避けましょう。体調が安定するまでは無理をせず、安静を優先してください。

吐き気を伴う頭痛がある場合は、市販薬はどのようなものを飲めばよいですか?

吐き気を伴う頭痛に対しては、アセトアミノフェンを成分とする市販薬が比較的安全で使いやすいとされています。アセトアミノフェンは胃への刺激が少ないため、吐き気がある場合にも適しています。一方、イブプロフェンやロキソプロフェンなどのNSAIDsは胃への負担が強く出る場合があるため、空腹時の服用は避けるようにしましょう。もし嘔吐が続いて薬が飲めない場合や、同じ症状を繰り返す場合は、市販薬に頼らず医療機関での診察と適切な処方(トリプタン製剤や制吐剤など)を受けることが重要です。

熱中症によって吐き気を伴う頭痛が起こることはありますか?

はい、熱中症によっても吐き気を伴う頭痛が起こることがあります。熱中症になると、体温の上昇や脱水により脳の血流や体内の電解質バランスが崩れ、頭痛・吐き気・めまい・強いだるさなどの症状が現れます。特に屋外での作業や運動中に強い頭痛や吐き気を感じる場合は、体内の熱がうまく逃げていないサインです。すぐに日陰や涼しい場所に移動し、衣服を緩めて体を冷やしながら水分と塩分を補給してください。症状が改善しない、または意識がもうろうとする場合は、重度の熱中症(熱射病)が疑われるため、速やかに医療機関を受診することが大切です。

この記事の執筆者

院長 日暮 雅一 ひぐらし まさかず

院長日暮 雅一 ひぐらし まさかず

略歴

1999年 横浜市立大学医学部 卒業
横浜市内複数の基幹病院で修練
2005年 小田原市立病院 
脳神経外科主任医長
(2005年度 脳神経外科部長代行)
2009年 横浜市立大学大学院医学研究科
脳神経外科助教
(2011年度 脳神経外科教室医局長)
2012年 Australia Macquarie大学留学
医工連携学research fellow
2014年 新緑脳神経外科・
横浜サイバーナイフセンター医長
2016年 ほどがや脳神経外科クリニック開設
2019年 医療法人社団 正念 設立

資格

  • 医学博士(神経薬理学)
  • 日本脳神経外科学会専門医
  • 日本頭痛学会専門医/指導医
  • 日本脳卒中学会専門医/指導医
  • 日本認知症学会専門医/指導医
  • 認知症サポート医
  • 日本医師会認定産業医
  • 身体障害者福祉法15条指定医(肢体不自由 言語咀嚼)
  • 難病指定医
  • 自立支援指定医療機関(てんかん)

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