レビー小体型認知症

幻視は病気によるものであり、本人にとっては「本当に見えている」現象です。否定したり、叱ったりせずに安心できる言葉をかけることが重要です。
薬で改善することもありますが、抗精神病薬の一部は症状を悪化させることがあります。気になる症状がありましたら、まずは脳神経外科あるいは眼科までご相談していただくことを推奨します。

レビー小体型認知症では、認知症症状に加えて運動機能や自律神経も影響を受けるため、転倒や誤嚥のリスクが高まります。日常生活において、以下気をつけてみましょう。

• 明るい照明で幻視を減らす
• 段差をなくし、転倒を防ぐ
• 食事中は誤嚥しないように注意する
• 睡眠中に暴れる場合はベッド周りを安全にする（片づける、ベッドの高さが高すぎないようにする）

など

「見えないものを見ている」あるいは「調子が急に変わる」などに戸惑うことも多いですが、まずは病気の特性を正しく理解するようにしましょう。本人を否定せず、安全で安心した環境にて過ごせるようにすること、ストレスを軽減することが大切です。
また、介護される方も負担を抱え過ぎず、地域包括支援センター等を積極的に活用するようにしましょう。

ストレスは、レビー小体型認知症の直接的な原因ではありません。この病気の原因は、脳の神経細胞内にレビー小体といった異常なたんぱく質（αシヌクレイン）が蓄積し、神経の働きを妨げることで起こります。レビー小体が脳の大脳皮質や脳幹などに広がることで、記憶や思考、運動、自律神経といった機能に障害を与えます。認知機能に影響を与えた場合に、幻視などが現れます。
なお、強いストレスや睡眠不足、過労などは、脳内の神経伝達物質のバランスを崩し、症状を悪化させる要因に繋がります。そのため、過度なストレスの蓄積がされないよう、安定した生活リズムと十分な休養を取ることが重要です。

レビー小体型認知症を放っておくと、認知機能や運動機能、自律神経機能のすべてが徐々に低下していきます。初期は、物忘れより幻視や注意力の変動が目立ちますが、進行するにつれ、判断力の低下や会話の減少、食事や着替え、入浴といった日常生活が困難になります。
また、手足の震えや歩行障害、転倒といったパーキンソン症状や便秘、立ちくらみ、尿失禁といった自律神経障害も進み、介護を必要とするようになります。誤嚥性肺炎や転倒により命に関わる状態になることもありますので、適切な治療と環境調整を行い、進行を穏やかにすることが重要です。