脳腫瘍で頭痛が起きることは多い?
脳腫瘍によって頭痛が起こることは多く、全体の30~70%程に頭痛があります。しかし、脳腫瘍による頭痛は、初期症状として出ることは少なく、脳腫瘍が増大して頭蓋内圧が高まることにより硬膜や脳の太い血管が刺激を受ける場合に頭痛が起こります。
脳腫瘍による頭痛の特徴
脳腫瘍による頭痛は、前頭部や後頸から後頭部にかけての部位で発生することが多く、鈍痛であることが多いという特徴がありますが、脈打つような頭痛が起こる場合もあります。また、頭痛は一定の時間をおいて出没したり、持続的に痛みがあることもあります。頭痛の発生箇所と腫瘍のある箇所が一致するのはあまり多くないとされています。なお、片頭痛や頭部外傷の検査で偶然無症状の脳腫瘍が見つかることもあります。
脳腫瘍による頭痛の治療
痛み止め
脳腫瘍による頭痛は、片頭痛やくも膜下出血による頭痛のような激しい頭痛と比べると、軽度であるため、頭痛の軽減のためには消炎鎮痛剤(痛み止め)を用います。なお、麻薬系鎮痛剤は意識レベルに影響することがあるため、滅多に使用しません。
頭蓋内圧を下げる
脳腫瘍に関連する頭痛の多くは、頭蓋骨内部の圧力の上昇によるものであるため、頭痛を緩和するためにはステロイドや高浸透圧利尿薬を用いて頭蓋内圧を下げる治療を行います。特に悪性腫瘍の場合は、症状の改善効果が大きいです。
脳腫瘍治療
頭痛の原因は脳腫瘍であるため、腫瘍を取り除くことで頭痛を根本的に解消することができます。脳圧が高くなり腫れた脳が脳幹部を圧迫する「脳ヘルニア」を起こしている場合は、緊急の手術が必要になります。そうではないものに関しては、手術や放射線・化学療法などの中から最適な治療を行います。また、水頭症を併発している場合は、脳脊髄液を体外へ出す「脳室外ドレナージ」という手術を行うことがあります。
脳腫瘍による頭痛は起床時に起こる?
脳腫瘍による頭痛の特徴として、寝起きに起こりやすいことが挙げられます。これは、良性・悪性を問わず起こり、就寝時に静脈圧が高まるため脳内の圧力が高まることによって起こると考えられています。初期は頭痛が朝にだけ起こっていたのが、やがて日中にも起こるようになることが多いです。
脳腫瘍による頭痛は毎日続く?
脳腫瘍による頭痛は、起床時に最も強く、毎日続き、だんだん調子の良い日がなくなっていくという特徴があります。
脳腫瘍による頭痛に関する
よくある質問
脳腫瘍による頭痛の発生頻度はどれくらいですか?
脳腫瘍に関連した頭痛は、患者全体の約3〜7割にみられると報告されています。ただし、頭痛が最初に出現するケースは少なく、腫瘍の増大により頭蓋内圧(脳の内部圧)が高まる、または硬膜や血管が圧迫・刺激されることで痛みが起こることが多いです。そのため、脳腫瘍があっても頭痛がまったくみられない方もいます。
頭痛薬が効かない頭痛は脳腫瘍が原因となっている可能性が高いですか?
頭痛薬が効かない場合でも、必ずしも脳腫瘍が原因とは限りません。多くは、片頭痛・緊張型頭痛・薬剤の使用過多による頭痛(薬物乱用頭痛)などが関係しています。しかし、これまでと異なる種類の頭痛が続く場合や、吐き気・視覚異常・手足のしびれ・言葉のもつれなどの神経症状を伴う場合には、脳腫瘍などの器質的疾患を疑う必要があります。こうした場合は、早めに医療機関を受診して検査を受けることが大切です。
脳腫瘍による頭痛が頭の片側にだけ起こることはありますか?
脳腫瘍による頭痛は、痛みの部位と腫瘍の位置が一致しないことが多いとされています。そのため、頭の片側にだけ痛みを感じても、必ずしもその側に腫瘍があるわけではありません。ただし、腫瘍が一方の脳にある神経や血管を圧迫している場合には、片側に強い痛みが出ることもあります。頭の片側に痛みが続く、または徐々に悪化する場合は、精密検査を受けることが望ましいです。
脳腫瘍による頭痛の対処方法はどんなものがありますか?
脳腫瘍による頭痛の軽減には、まず消炎鎮痛薬を用いて痛みを抑えることがあります。ただし、根本的な改善には腫瘍そのものの治療が必要です。頭蓋内圧の上昇が原因となっている場合は、ステロイド薬や高浸透圧利尿薬を使用して圧を下げる治療が行われます。腫瘍が大きい場合や脳幹部を圧迫している場合は、外科的手術・放射線治療・化学療法などが選択されます。頭痛が長期間続く場合は、鎮痛薬に頼りすぎず、原因を確認することが重要です。

