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新規の片頭痛抗体治療薬アジョビ(フレマネズマブ)とは

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大塚製薬主催、保土ヶ谷区医師会協賛で、「片頭痛診療について考える会」がありました。私は久しぶりに40分の長い講演を担当させていただき、脳神経外科東横浜病院 副院長 郭彰吾先生に座長していただきました。Session2として、横浜エリアで活躍されている脳神経外科・神経内科医の先生を中心に、アジョビ(フレマネズマブ)の活用方法につき議論いただきました。アジョビは昨年本邦で発売された抗CGRP抗体治療薬です。片頭痛の発生メカニズムに関与するCGRPをキャッチして失活する薬です。私からの 講演としては、当院では約30例のアジョビを使用しており、従来発症抑制薬に加えて、あるいは入れ替えて使用し、1か月あたりの頭痛日数・トリプタンなどの薬使用回数・HIT6というQOLスケールの改善が得られています。やや高額な薬ですが、試す価値はあるかと思います。約20%の方はsuper responderといわれる、頭痛がほぼゼロになる著効例がおりますが、使用してみないとわかりません。

また、どういうときに必要かという議論においては、頭痛頻度上昇しており、休職リスクや大きなプロジェクトをかかえている、受験を控えているなどのどうにもならない状況においてはコスパはよいと思います。また、ストレスの多い休めない仕事についている方の片頭痛重積や頻度上昇時にも従来予防薬で不十分な場合に効果的かと思います。処方する側としては、保険から多くの公費を使うお薬だけに、必要十分な量を模索し、軽減しているシーズンはオフにするなどのアイデアが必要であると感じました。一方、片頭痛の患者さんには、いざというときはアジョビがあるということを念頭におき、マネジメントしていただけたらと思います。右から、子安脳神経外科クリニック院長 子安英樹先生、脳神経外科東横浜病院副院長 郭彰吾先生、左から、ポートサイドプレイス中崎クリニック院長 中崎浩道先生、碧水脳神経クリニック院長 増田励先生(頭痛学会評議員)です。頭痛を診療する各医療機関の経営者としての視点から、新しい抗体治療薬の扱い方、初回投与のタイミング・継続・中断、スポット利用、使用できる年齢や挙児希望者との絡みなど、多くの意見をいただきました。特に、高校受験生や大学受験生に関しては、安全性は18歳以上で確認済であるが、15歳から投与可能との大塚側からの回答を得たことで、該当する患者さんは大きな恩恵を得られるのではないでしょうか。ご興味のある患者さんは、是非お気軽にご相談ください。

この記事の執筆者

院長 日暮 雅一 ひぐらし まさかず

院長日暮 雅一 ひぐらし まさかず

略歴

1999年 横浜市立大学医学部 卒業
横浜市内複数の基幹病院で修練
2005年 小田原市立病院 
脳神経外科主任医長
(2005年度 脳神経外科部長代行)
2009年 横浜市立大学大学院医学研究科
脳神経外科助教
(2011年度 脳神経外科教室医局長)
2012年 Australia Macquarie大学留学
医工連携学research fellow
2014年 新緑脳神経外科・
横浜サイバーナイフセンター医長
2016年 ほどがや脳神経外科クリニック開設
2019年 医療法人社団 正念 設立

資格

  • 医学博士(神経薬理学)
  • 日本脳神経外科学会専門医
  • 日本頭痛学会専門医/指導医
  • 日本脳卒中学会専門医/指導医
  • 日本認知症学会専門医/指導医
  • 認知症サポート医
  • 日本医師会認定産業医
  • 身体障害者福祉法15条指定医(肢体不自由 言語咀嚼)
  • 難病指定医
  • 自立支援指定医療機関(てんかん)

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