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血栓回収とTIAクリニック

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第一三共と日本メドトロニックの共催で、「脳卒中治療アップデート」という保土ヶ谷区西区中心とした勉強会を行いました。

国内の脳卒中外科(開頭術・カテーテル治療)第一人者である「新都市脳神経外科病院」院長 森本将史先生と、県市医師会神経科医会幹事である「たぐち脳神経クリニック」院長 田口博基先生より、ご講演いただきました。

森本先生からは、二刀流脳卒中外科医として、手術・カテ治療両面についてお話しいただきました。カテーテル治療では、ステントリトリーバーによる緊急血栓回収と、巨大動脈瘤治療に期待されるパイプライン。開頭術では、内頚動脈解離に対する高潅流バイパスや、巨大血栓化動脈瘤に対する開頭術を拝見しました。「Time is Brain」ともいわれ、脳卒中は時間との勝負です。詰まって発症してから、詰まったところが再灌流するまでの時間をいかに短縮するかがとても重要です。当院のようなMRI完備のクリニックは、早期診断を行い、即対応可能な治療家へ連絡してつなげる役割があると考えます。

そのことにつき、田口先生より、「TIAクリニック」についてお話いただきました。TIAとは一過性虚血発作のことで、脳卒中症状が固定化する前のリカバリーが期待できる病態です。実際、TIAでも、小さな脳梗塞などの損傷が残っているケースが多い様に思います。当院もそうですが、昨今、MRI・CTを完備して急性期脳卒中診断を迅速に行えるクリニックが県内、特に横浜周辺には多くあります。そのような県内脳神経クリニック先生方にも参会いただき、意見交換をしました。「TIAクリニック」は、急性期脳梗塞の有無と脳動脈の狭窄や詰まりがあるかどうかを迅速に判断し、病院治療家へ直接送って再灌流時間を短縮させることが求められています。クリニックはフットワークが軽いので、状況に応じて優先的にMRIを施行し、卒中があれば卒中外科医に直接連絡できます。さらに、搬送準備の段階で、送り先病院でも治療準備を進めていけるため、病院救急外来経由よりも、再灌流までの時間短縮が期待できるとの意見もあります。

TIAの症状は、顔手足の麻痺、言語障害、意識障害が注目されます。しかし、運動言語野以外の障害では、外からわかりにくいことがあります。脳の太い血管の慢性狭窄・閉塞により発生しやすい「分水嶺梗塞」は、症状が不明瞭な「non eloquent area」を含んでます。突然発症の、めまい・頭痛・しびれ・意識混濁・ふらつきがあり、30分、1時間と改善がなければMRI完備のTIAクリニックの受診を勧めます。

この記事の執筆者

院長 日暮 雅一 ひぐらし まさかず

院長日暮 雅一 ひぐらし まさかず

略歴

1999年 横浜市立大学医学部 卒業
横浜市内複数の基幹病院で修練
2005年 小田原市立病院 
脳神経外科主任医長
(2005年度 脳神経外科部長代行)
2009年 横浜市立大学大学院医学研究科
脳神経外科助教
(2011年度 脳神経外科教室医局長)
2012年 Australia Macquarie大学留学
医工連携学research fellow
2014年 新緑脳神経外科・
横浜サイバーナイフセンター医長
2016年 ほどがや脳神経外科クリニック開設
2019年 医療法人社団 正念 設立

資格

  • 医学博士(神経薬理学)
  • 日本脳神経外科学会専門医
  • 日本頭痛学会専門医/指導医
  • 日本脳卒中学会専門医/指導医
  • 日本認知症学会専門医/指導医
  • 認知症サポート医
  • 日本医師会認定産業医
  • 身体障害者福祉法15条指定医(肢体不自由 言語咀嚼)
  • 難病指定医
  • 自立支援指定医療機関(てんかん)

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