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物忘れ、早期発見の大切さ

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神経細胞は自然経過でも加齢とともに死滅していきます。そこに特殊なスイッチがはいると、通常よりも偏って、加速して神経脱落が起こります。一度死滅した神経細胞は基本的には機能的再生はできません。認知症の早期発見の大切さはそこにあります。当院には、様々な形で「物忘れ」「認知症」に関して相談があります。

実生活で問題はないけれど、認知症の家族がいるので念のため脳ドックを受けられるケース。

患者さんの心に実存的な悩みがあり、「スケジュールを忘れてしまうようになり、心配になった」「よく物がなくなる」「仕事でミスが増えて、新しい仕事内容を覚えられない」といった主訴で、自発的に来院されるケース。

本人は病識がなく至って元気、「私はどこも悪くないけど、連れてこられた」と本人がいう一方で、家族からは「同じことを何度も繰り返し話す」「自分の家なのに帰ろうとする」「もう一人誰かが住んでいるような行動をとる」「すぐ怒る」「入浴を嫌がる」「同じ服を着続ける」などのエピソードがあります。

また、「本人がどうしても来院を拒否するのでどうしたらよいですか?」という、家族相談という形もあります。近隣には独居の方も多く、「(家族は遠方なため)近々一人暮らしが破たんしそうであり、どうしたものか」というもの。ケアプラザや、担当ケアマネージャーに勧められて相談にこられたりします。

あるいは、頭部打撲などほかの主訴で来院されて、明らかになる場合もあります。「最近、ふらついてよく転ぶ、足腰の問題とおもっていた」が、実は、起立性低血圧やパーキンソニズムがあり、水頭症があり、脳血流障害があり、海馬高度萎縮がありといったかたちで診断・治療・ケア・環境調整へとつながっていきます。

認知症の原因は様々あり、治るものもあれば、予防が効果的な場合もあります。ゆっくりゆっくりと変化するため気づきにくいかもしれませんが、とにかく早期発見することで大きく余生の質が変わることは間違いありません。

 

この記事の執筆者

院長 日暮 雅一 ひぐらし まさかず

院長日暮 雅一 ひぐらし まさかず

略歴

1999年 横浜市立大学医学部 卒業
横浜市内複数の基幹病院で修練
2005年 小田原市立病院 
脳神経外科主任医長
(2005年度 脳神経外科部長代行)
2009年 横浜市立大学大学院医学研究科
脳神経外科助教
(2011年度 脳神経外科教室医局長)
2012年 Australia Macquarie大学留学
医工連携学research fellow
2014年 新緑脳神経外科・
横浜サイバーナイフセンター医長
2016年 ほどがや脳神経外科クリニック開設
2019年 医療法人社団 正念 設立

資格

  • 医学博士(神経薬理学)
  • 日本脳神経外科学会専門医
  • 日本頭痛学会専門医/指導医
  • 日本脳卒中学会専門医/指導医
  • 日本認知症学会専門医/指導医
  • 認知症サポート医
  • 日本医師会認定産業医
  • 身体障害者福祉法15条指定医(肢体不自由 言語咀嚼)
  • 難病指定医
  • 自立支援指定医療機関(てんかん)

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