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脳動脈瘤

脳動脈瘤とは

脳動脈瘤とは脳動脈に発生したコブのような、あるいは紡錘形にふくれた部分のことを脳動脈瘤といいます。血管が枝分かれする場所にできやすく、よく知られている発生部位としては、中大脳動脈、内頚動脈、前交通動脈、脳底動脈などがあげられます。
大きさは2mm程度から25mm以上まで様々ありますが、ほとんどのケースでは10mm未満です。

未破裂脳動脈瘤とは

脳動脈の壁にコブ状に膨らんだ部分があり、発見時点で出血(破裂)の兆候がない状態である場合、未破裂脳動脈瘤と呼びます。日本人の約5パーセント程度の人で、脳ドックなどで頭部MRI検査を行うと見つかると言われており、無症状であることがほとんどです。20人のうち1人程度の割合で起こるもので、まれなものでは無いため、注意が必要です。


脳動脈瘤の原因

脳動脈瘤の発生には、家族歴が知られています。また、高血圧や血流異常による血管壁へのストレス、喫煙、遺伝などによる動脈壁の脆弱性といった後天的原因が関係していると言われていますが、はっきりとした原因はわかっていません。年を重ねると、起こりやすさも増します。

脳動脈瘤が女性に多い原因は?

閉経後の女性は脳動脈瘤を起こしやすく、脳動脈瘤の破裂が原因のくも膜下出血は男性の2倍以上もあります。閉経によるエストロゲンの低下で、血管壁の炎症が抑制されにくくなり、それによって血管壁がもろくなることで脳動脈瘤ができやすくなるといわれています。


脳動脈瘤の症状

脳動脈瘤は、未破裂の場合は症状が無く、脳ドックなどで偶然見つかることがほとんどです。まれに、頭痛やめまい、視力障害などの症状が現れて病院を受診することで発見されるケースも存在します。一方、脳動脈瘤の破裂が起こった場合は、激しい頭痛や吐き気、嘔吐、意識障害などの症状が起こります。


脳動脈瘤の治療

脳動脈瘤では、大きさが5ミリ以上である場合や、視力障害などの症状が見られる場合、治療を検討することを勧めています。治療は、血管内治療か開頭手術でのクリッピング術のいずれかの方法で行うことになります。どちらの方法にもメリット、デメリットがあるため、患者様の状態を考慮し、もっとも適した方法を選択致します。
脳動脈瘤が未破裂の状態で見つけることができれば、適切な手術方法を選択し、くも膜下出血が起こる前に対処することができます。
手術が必要であると判断された場合、熟達している術者のいる提携する医療機関をご紹介しております。


脳動脈瘤は自然に消える?
放置しても問題ない?

動脈瘤はほとんどの場合、未破裂であっても、勝手に小さくなったり、消失したりするという可能性は考えられません。また、薬物療法では動脈瘤を改善する効果は証明されておらず、脳動脈瘤が破れ、出血しないようにするためには、外科的な治療をする必要があります。


脳動脈瘤に関するよくある質問

脳動脈瘤の前兆はありますか?

脳動脈瘤は多くの場合、破裂するまでは自覚症状がほとんどありません。しかし、一部では「前兆」として頭の一部が重い・ズキズキするような頭痛、目の奥の痛み、まぶたの下がり、視力の低下などが起こることがあります。これらは脳動脈瘤が神経を圧迫しているサインである場合もあります。突然の激しい頭痛や吐き気が出た場合は、破裂の可能性もあるため、速やかに救急受診が必要です。

脳動脈瘤で注意することはありますか?

脳動脈瘤を指摘された場合、破裂を防ぐことが最も重要です。血圧を安定させることが第一で、高血圧の方は降圧治療をしっかり行いましょう。また、喫煙や過度の飲酒は動脈瘤の拡大や破裂リスクを高めるため控えることが勧められます。ストレスを溜めず、規則正しい生活を送ることも大切です。定期的なMRIやMRA検査で経過を観察し、必要に応じて専門医と手術のタイミングを相談します。当院でもMRI検査が可能ですので、気になる点がありましたらご相談ください。

脳動脈瘤の原因はストレスですか?

ストレス自体が直接の原因になるわけではありませんが、強いストレスによって血圧が上昇し、結果的に脳動脈瘤の破裂リスクが高まることがあります。脳動脈瘤の主な原因は、血管壁の先天的な弱さや動脈硬化、高血圧、喫煙、加齢などです。したがって、ストレス管理は破裂予防の一環として重要です。深呼吸や軽い運動、十分な睡眠を意識することが効果的です。

脳動脈瘤は危ないですか?

脳動脈瘤は破裂すると「くも膜下出血」を起こし、命に関わる危険な状態となります。破裂した場合、激しい頭痛、嘔吐、意識障害、けいれんなどが起こることがあります。破裂後の死亡率や後遺症のリスクも高いため、未破裂のうちに発見・管理することが重要です。サイズや場所によっては手術やカテーテル治療で予防的に処置を行うこともあります。手術などが必要な場合には、連携する医療機関をご紹介いたします。

脳動脈瘤の大きくなる速度はどれくらいですか?

脳動脈瘤の成長速度は個人差が大きく、一概には言えません。多くは数年間ほとんど変化しないこともありますが、まれに短期間で拡大する例もあります。一般的には年に1回程度のMRIまたはMRA検査で経過を観察し、サイズの変化をチェックします。特に5mm以上の動脈瘤や、不整形(いびつな形)なものは拡大・破裂リスクが高いため、慎重なフォローが必要です。

脳動脈瘤でやってはいけないことはありますか?

強い力み(便秘時のいきみや重い物の持ち上げなど)は血圧を急上昇させ、破裂の引き金になることがあります。また、喫煙・過度の飲酒・睡眠不足もリスクを高めるため避けましょう。極度のストレスや興奮状態も危険です。運動は禁止ではありませんが、激しい運動や息を止めるような動作は控え、軽いウォーキングなど穏やかな運動を心がけるのが安全です。

脳動脈瘤になると性格が変わりますか?

未破裂の状態では性格の変化はほとんどありません。ただし、脳動脈瘤が脳の前頭葉や視床など、感情や行動を司る部位を圧迫している場合、軽い無気力や感情の変動がみられることがあります。また、破裂後に脳にダメージが生じると、性格や感情の変化、記憶障害などが残ることがあります。破裂を防ぐことが最良の対策です。

脳動脈瘤で生じる目の症状にはどんなことがありますか?

脳動脈瘤が目の神経(動眼神経)を圧迫すると、まぶたが下がる(眼瞼下垂)、ものが二重に見える(複視)、瞳孔の開きが左右で違うといった症状が現れます。これは特に内頸動脈や後交通動脈に発生した動脈瘤で起こりやすいです。突然こうした目の異常が出た場合は、破裂の危険があるため、すぐに脳神経外科の受診が必要です。

この記事の執筆者

院長 日暮 雅一 ひぐらし まさかず

院長日暮 雅一 ひぐらし まさかず

略歴

1999年 横浜市立大学医学部 卒業
横浜市内複数の基幹病院で修練
2005年 小田原市立病院 
脳神経外科主任医長
(2005年度 脳神経外科部長代行)
2009年 横浜市立大学大学院医学研究科
脳神経外科助教
(2011年度 脳神経外科教室医局長)
2012年 Australia Macquarie大学留学
医工連携学research fellow
2014年 新緑脳神経外科・
横浜サイバーナイフセンター医長
2016年 ほどがや脳神経外科クリニック開設
2019年 医療法人社団 正念 設立

資格

  • 医学博士(神経薬理学)
  • 日本脳神経外科学会専門医
  • 日本頭痛学会専門医/指導医
  • 日本脳卒中学会専門医/指導医
  • 日本認知症学会専門医/指導医
  • 認知症サポート医
  • 日本医師会認定産業医
  • 身体障害者福祉法15条指定医(肢体不自由 言語咀嚼)
  • 難病指定医
  • 自立支援指定医療機関(てんかん)

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