その手のふるえ
病気かもしれません
- コップやお茶碗を持つことができない
- 手が震えて字がうまく書けない
- 洋服を着る時にボタンが止められない
- 靴紐を結べない
- 包丁を持つ手が震えて料理ができない
- 人前に出る時に手がふるえて恥ずかしい
- スマホの操作が上手くできない
歳だからとあきらめていませんか??
当院では手のふるえなどの手足の意図しない動き(不随意運動)の専門家が診療いたします。
寒くないのに体がふるえるのは病気?
緊張した時、怖い時など、過度な精神的ストレスで手足がふるえるのは若くてもあります。こうした誰にでもあり、かつ何もしなくても改善するふるえは「生理的振戦」と呼ばれています。
一方で寒さや過度な精神的ストレスなどの明らかな誘因がない手足のふるえは病気の可能性があります。
ふるえの原因疾患
手足の持続的なふるえを起こす脳の病気はいくつか存在しますが、特に頻度が高いものが下の二つの疾患です。
本態性振戦
手足のふるえが主症状となる病気です。
他の病気の初期症状であることもあります。
原因はわかっていません。家族歴があると発症しやすいこともありますが、血縁内で自分だけ発症することもあります。
20歳前後と、60歳以上で多く、特に65歳以上では報告によっては人口の14%以上とも言われています。加齢に伴う生理現象として認識されていることも多く、老人性の振戦と呼ばれていることあります。しかし病気であることには違いなく、しっかりと治療すれば症状を軽減することが出来ます。
パーキンソン病
手足のふるえだけでなく、動きが固くなったり、バランスが悪くなったり、便秘や嗅覚症状なども現れる全身の病気です。
手足のふるえで気付くことが多いですが、症状は進行していくため、ふるえ以外にも全身の症状に対してしっかりと治療をしていくことが重要です。
様々な原因遺伝子も見つかっていますが、これも遺伝に関係はく発症することも多くあります。
65歳以上ではおおよそ1000人に2人程度ですが、本態性振戦と違い、若い人には極めて稀な病気です。
その他
脳卒中の後遺症や、脳腫瘍などの症状として現れる場合もあります。
また、甲状腺などのホルモンが原因で手足のふるえが出る場合もあります。
当院ではそれらを踏まえた上で検査を行い、診断して参ります。
ふるえの類縁疾患
〜ジストニア〜
特定の動作をする時だけ手が固まる「ジストニア」と呼ばれる病気があります。
文字を書く時に起こるものを「書痙」、楽器を弾く時にだけ起こるものを音楽家ジストニアと呼んだりします。スポーツ選手に起こるものを「イップス」ですね。
これらもふるえの類縁疾患で、同じような外科治療が有用である場合もあります。
そうした症状を認める場合は一度当院でご相談ください。
ふるえの治療
診断がついたら、それぞれの疾患に合わせて最適な薬物療法を開始します。
薬で効果がなかった場合や、薬の効果が不十分な場合は超音波による治療や、手術による治療を行います。
手術適応がある当院の非常勤医師が、常勤している下記連携施設において責任を持って手術を行います。
手術による治療
脳深部刺激療法
脳に電極を留置して、そこに体に埋め込んだペースメーカのような機械で電気を送り、脳の一部分を刺激し続けます。
当院では脳深部刺激療法の刺激調整デバイスもあり、術後の患者さんの調整などの診療も行えます(Boston社のデバイスに限ります)。
〈適応疾患〉
- パーキンソン病
- 本態性振戦
- ジストニアなど
不随意運動の治療に対して広い範囲で健康保険が適用されます。
凝固術
脳のごく一部分だけを、熱で変性させます。脳深部刺激療法と手順はほとんど同じですが、電極や刺激装置の埋込が不要で、一度でほぼ永続的に効果を認めます。
〈適応疾患〉
- 本態性振戦
- パーキンソン病
- ジストニア
原則として脳深部刺激療法と同じです。
集束超音波療法 (FUS;Focused Ultrasound Surgery)
凝固術と同じような効果がありますが、手術とは異なり、皮膚の外側から超音波を照射する治療です。以下のような特徴があります。
- 切らない
- 被曝の心配がない
- 入院期間が短い (3から5日間)
- ご高齢でも対応可能
〈適応疾患〉
- 本態性振戦
- パーキンソン病
連携施設
横浜市立大学附属市民総合医療センター
脳深部刺激療法では国内でも5本の指に入る症例数を維持し続けている施設です。2021年には世界で初めてAdaptive DBSという技術を用いた治療を行い、世界でも注目されました。当院の非常勤である高山医師や、高木医師が手術を多く出がける他、横須賀市立総合医療センターの東島も非常勤として手術に参加しています。
横須賀市立総合医療センター
県内で3施設、国内で20施設しかない、集束超音波治療が行えます。国内で3台しない最新バージョンの集束超音波の機械を保有しています。当院の非常勤医師である東島医師が、この施設のふるえ治療センターのセンター長を務めています。また、横浜市立大学附属市民総合医療センターの脳深部刺激療法チームが非常勤として勤務しており、協力しながら診療しています。
外来のご案内
ふるえ外来
- 第2土曜日;担当;東島威史
- 第2、第4水曜日午前;高山裕太郎
- 第1、第3、第5月曜日午後;高木良介
震えに関するよくある質問
「振戦」の読み方は何ですか?
「しんせん」と読みます。
振戦(ふるえ)の原因はストレスですか?
ストレスは増悪因子になり得ます。生理的振戦も、病気による振戦も、ストレスで症状が悪化することがあります。
振戦(ふるえ)はどんな時に起こりやすいですか?
病気によって異なります。パーキンソン病では「安静時振戦」が特徴的で、止まっている時は強くふるえますが、動き出すと症状は軽減します。本態性振戦はその逆で、止まっている時はほとんど認めませんが、動く時に強くふるえます。
手のふるえで何が不足すると起こりますか?
脳が原因の場合は、あまり食べ物などで症状が変わることはありません。パーキンソン病などではドーパミンが不足するとふるえが強くなることはあります。
手のふるえは老化現象ですか?
老化は一つのリスク因子ではありますが、全ての人に起こるわけではないので、老化現象とは言えないです。
手のふるえは自律神経と関係がありますか?
あります。自律神経のうち、ストレスで活動が過剰になる「交感神経」が優位になるとふるえが出ます。
女性で手がふるえる原因は何ですか?
甲状腺というホルモンの異常で出ることも多いです。
更年期になると手がふるえるのはなぜですか?
自律神経のバランスが乱れたり、ホルモンの変動がで手のふるえが出ることがあります。